onmicrosoft.com ドメインの問題点
Microsoft 365 Business や Microsoft 365 E3/E5 などの法人向け Microsoft 365 では、Exchange Online を利用して電子メールの送受信ができます。
この時利用するメールアドレスとして、既定では (テナント名).onmicrosoft.com ドメインのアドレスが割り当てられます。カスタム ドメイン(自社の独自ドメイン)を取得して割り当てなくても電子メールが利用できるので、この (テナント名).onmicrosoft.com ドメインのメールアドレスをそのままビジネス用アドレスとして利用されている小規模な事業者もいらっしゃると思います。
この onmicrosoft.com ドメインのメールアドレスを「MOERA (Microsoft Online Email Routing Address) 」と呼びますが、MOERA はすべてのテナントで共通のドメイン(onmicrosoft.com)を持つため、迷惑メール判定でのドメインの評価が全体で共有されます。また MOERA は評価版 Microsoft 365 でもすぐに利用できるようになるため、悪意のあるメール配信者(スパマー)によって利用される場合もあります。そのため、こうしたスパマーの活動が MOREA のドメイン全体の評価に影響を与えます。
こうした問題を改善するため、Microsoft 365 の MOERA(onmicrosoft.com ドメインのメールアドレス)からの組織外(インターネット上の宛先)へのメール送信に制限が導入されます。
メール送信の制限
上記のような理由で、Microsoft は MOERA(onmicrosoft.com ドメインのメールアドレス)をテスト目的でのみ使用し、実際のビジネス メールとしては使用しないことを推奨しています。また MOREA には以下のような送信制限が導入されます。
制限:24時間の枠内で 100 人の外部受信者まで送信可能、それ以上の送信は Exchange Online から配信しない
「24時間の枠内で 100 人の外部受信者まで」とは、過去 24 時間以内に送信されたメールの実際の送信先のアドレスの数が 100 までということです。例えば 例えば 1 通のメールで宛先の to フィールドに 1 アドレス、cc フィールドに 5 アドレス、bcc フィールドに 2 アドレスを設定して送信した場合、受信者数は 8 になります。
メールを送信する際に、Exchange Online で過去 24 時間の外部受信者数がチェックされ、100 を超える場合はそのメールは配信されず、送信者に コード 550 5.7.236 の NDR(配信不能通知)が返されます。
Microsoft 365 テナントにカスタム ドメイン(独自ドメイン)を追加していない場合、メールの送信はすべて MOERA から行われていますので、ある程度のメール送信を行っていれば、この制限の対象となる可能性が大きいと考えられます。
制限の導入時期
この制限は、まず評価版テナントを対象に 2025 年 10 月 15 日から導入されています。ライセンス購入済みのテナントに対しては、以下のスケジュールで導入されます。
| 制限の開始日 | テナント内のライセンス数 | 
| 2025年12月1日 | 3 未満 | 
| 2026年1月7日 | 3 – 10 | 
| 2026年2月2日 | 11 – 50 | 
| 2026年3月2日 | 51 – 200 | 
| 2026年4月1日 | 201 – 2,000 | 
| 2026年5月4日 | 2,001 – 10,000 | 
| 2026年6月1日 | 10,001 以上 | 
テナントの管理者は上記の制限開始日までに、MOERA(onmicrosoft.com ドメインのメールアドレス)の利用状況を確認し、必要な対策を取る必要があります。そうでないと、MOERA を利用したメール送信に依存しているワークフローが機能しなくなる場合があります。
MOERA の利用を調査する
テナントから送信されている電子メールで、送信者メールアドレスが MOERA となっているものがどれくらいあるのかは、以下の方法で調査できます。
- Exchange 管理センター(https://admin.exchange.microsoft.com/)にサインインします。
- 画面左のナビゲーションで [メール フロー] ⇒ [メッセージ追跡] を選択します。 
- [メッセージ追跡] で [追跡を開始] をクリックし、新しいクエリを作成します。
- [新しいメッセージ追跡] で [送信者]に *@(テナント名).onmicrosoft.com を入力します。 
- [受信者] は [すべて] のままにして、タイムゾーン・開始日・終了日を適切に指定します。
- クエリに名前を付けて保存し、[新しいメッセージ追跡] を閉じます。
- [メッセージ追跡] で [カスタム クエリ] をクリックし、作成して保存したクエリを見つけます。 
- 作成したクエリをクリックして [新しいメッセージ追跡] を開き、[検索] をクリックします。
これで、指定した期間内に MO期間内に MOERA から送信されたメールが一覧できます。ここから受信者がテナント内であるものを除けば、送信制限の対象となるメールが確認できます。
制限への対処
制限を回避してメールの送信を確実に行うには、まずテナントにカスタム ドメインが追加されている必要があります。テナントに追加されているドメインは、Microsoft 365 管理センターの [設定] ⇒ [ドメイン] で確認できます。

上のスクリーンショットのようにカスタム ドメインが追加されていない場合は、ドメインを追加します。ドメインの追加については、以下を参照してください。
・Microsoft 365 にドメインを追加する – Microsoft 365 admin | Microsoft Learn
ドメインを追加したら、カスタムドメインを「既定のドメイン」に設定し、既存のユーザーのプライマリ SMTP アドレスをカスタムドメインを使用したメールアドレスに変更します。メールアドレスの変更について詳しくは、以下を参照してください。
・ユーザーに別のメール エイリアスを追加する – Microsoft 365 admin | Microsoft Learn
・カスタム ドメインを使うように電子メール アドレスを変更する – Microsoft 365 admin | Microsoft Learn
またシステムで自動的に送信されるメッセージの送信元も、カスタムドメインを利用するよう変更します。主な変更すべき送信元は、Microsoft 365 からの通知と、外部 Postmaster アドレスです。これについて以下を参照してください。
・Microsoft 365 製品からのメールに使用するドメインを選択する – Microsoft 365 admin | Microsoft Learn
・Exchange Online で外部ポストマスターのアドレスを構成する | Microsoft Learn
まとめ
Microsoft 365 テナントにカスタム ドメインを追加せず、MOERA(onmicrosoft.com ドメインのメールアドレス)をそのままビジネス メールに利用している組織は、すぐにカスタム ドメインの追加を行ってください。ビジネス メールとして外部に送信する場合、MOERA(onmicrosoft.com ドメインのメールアドレス)の利用は推奨されず、送信制限の対象となる可能性が大です。
カスタムドメインが追加されている場合でも、MOERA が利用されていないかメッセージ追跡で確認し、利用されている場合は必要な対処を行ってください。
カスタムドメインの追加や Microsoft 365 での構成方法など、メール送信制限への対処についてのご相談は、以下からお問い合わせください。
・contact us – ExceedOne
参考情報:Limiting Onmicrosoft Domain Usage for Sending Emails | Microsoft Community Hub
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