Windows 10 のサポート終了
現在も多くの企業や組織で利用されている Windows 10 PC ですが、2025 年 10 月 14 日で Windows 10 のサポートが終了します。
※・Windows 10 のサポートは 2025 年 10 月に終了します
・Windows 10 ESU を利用するタイミング
PC のハードウェアが比較的新しい場合は、現在の Windows 10 を Windows 11 にアップグレードして利用することができます。また Windows 10 拡張セキュリティ Updates (ESU) プログラムを購入して、当面(最大3年) Windows 10 を利用するという選択肢もあります。
Windows 10 のサポート終了に合わせて PC 自体を Windows 11 対応の新しい PC に更新す場合はもちろん、Windows 11 へのアップグレードや ESU を選択された場合でもいずれ新しい PC への置き換えは必須ですから、これからどのような PC を 利用するのが良いのか、検討を進めることが必要です。
そんな中で、今注目されているのは AI 機能を搭載した Copilot + PC という新しい PC の規格です。
Copilot + PC とは
Copilot + PC は 2024 年 5 月に Microsoft が発表した AI 機能を搭載した新しい Windows PC の規格で、具体的には以下のようなハードウエア要件を満たす Windows 11 プリインストール PC です。
※Copilot+ PC ハードウェア要件
- Windows 11 のハードウェア要件を満たしている
- 40 TOPS 以上の性能の NPU を搭載している
- 主記憶として 16 GB 以上の DDR5/LPDDR5 メモリを搭載している
- 補助記憶として 256 GB 以上の SSD または USF を搭載している
NPU:ニューラル プロセッシング ユニット。AI や機械学習用に設計された特殊なプロセッサ
TOPS:Tera Operations per Second。NPU が1秒間に何兆回の演算を行えるかの指標
Copilot + PC はまず個人向けの Surface Pro と Surface Laptop が発売され、OEM メーカーからも同様に個人向け製品として多くの機種が販売されています。量販店の店頭などですでにご覧になった方も多いでしょう。
Copilot + PC は当初 CPU に Qualcomm の Snapdragon X Elite / Plus を採用した ARM アーキテクチャの機種だけでした。これはその時点では Intel / AMD には 40 TOPS 以上の性能の NPU を搭載している CPU が存在していなかったためです。2024 年秋以降 Intel / AMD からも新しい CPU が登場し、2024 年末からは Intel / AMD の x64 アーキテクチャ CPU を搭載した Copilot + PC が各メーカーから発売されています。
法人向け Copilot + PC とは
上記のように Copilot + PC は当初は個人向け製品(Windwos 11 Home エディション搭載)として発売されています。これは利用できる CPU が ARM アーキテクチャのみとなり、互換性の問題で法人向けへの投入が難しいという事情がありました。
※ ARM アーキテクチャと x64 アーキテクチャはプログラム命令に互換性が無いため、x64 で動作するシステムで ARM では動作しないものがあります。法人の場合、業務に使用するシステムやアプリケーションの互換性は重要なので、ARM アーキテクチャの PC を採用する場合、多くの検証が必要となります。
前述の通り、2024 年後半で Intel / AMD から 40 TOPS 以上の性能の NPU を搭載した CPU が登場したことで、x64 アーキテクチャの Copilot + PC が発売されました。これらの PC は従来の Windows PC との互換性が高く法人でも多くの検証なしに採用が可能なため、各メーカーは Windows 11 Pro エディションを搭載した法人向けモデルも展開しています。これが法人向け Copilot + PC です。
法人向け Copilot + PC で何ができるのか
法人向け Copilot + PC で実現される機能は、すでに個人向け Copilot + PC で実現している機能・これから搭載される機能と同じです。
Copilot + PC で追加される主な機能は、以下のようなものです。
※詳細は「Copilot+PC を購入する:新しい時代の Windows AI PC とノート PC | Microsoft Windows」を参照してください
- 自動超高解像度
低解像度の画像を AI が鮮明化して高解像度にします - コクリエイター
文字のプロンプトや簡単なスケッチから画像を生成します - フォトアプリの拡張
写真のスタイル変更や自動生成が行えます - ライブキャプション
Windows 上で再生される動画に自動的に翻訳された字幕を付けます - Windows Studio エフェクト
Web 会議などで利用できるビデオと音声のエフェクトです(Teams 以外の会議アプリでも利用できます) - リコール
ユーザーが PC で操作した画面・ファイル・URL などを記憶し、必要に応じて AI 検索して簡単に再度アクセスできるようにします
また Windows の検索で AI が利用されるようになり、ファイル内の画像やメディアも検索の対象となります。
このような機能により、ビジネスでの利用の場合、
- 資料の作成で必要となる画像やイラストを簡単に作ることができる
- 日本語以外の動画資料を簡単に理解できるようになる
- 音声が再生できない場所でも動画の音声を字幕で表示できる
- Web 会議でのより良いビデオと音声のパフォーマンスが期待できる
- 以前に利用したファイルやデータを探す手間が大幅に削減される
などのメリットがあり、さまざまな作業の効率化が行えます。
なお Copilot + PC の AI 機能は Windows Update を通じて更新・追加・改善されます。実際に昨年 5 月の登場以来、多くの機能が追加・更新されています。Copilot + PC で最新の AI 機能を利用するには、Windows Update での自動更新を有効にし、提供される更新を常に適用する必要があります。
Microsoft 365 Copilot と Copilot + PC
Microsoft の AI サービスのブランドである Copilot の法人向けサービスとして、Microsoft 365 Copilot があります。すでに導入して AI のメリットを活用されている所も多いでしょう。
Microsoft 365 Copilot と Copilot + PC は同じ AI の機能ですが、Microsoft 365 Copilot は Microsoft 365 のクラウド サービスを対象とした AI であるのに対して、Copilot + PC の AI 機能はユーザーが利用している Windows 11 PC を対象とした AI です。Microsoft 365 Copilot ではユーザーの PC 内に保存されているデータは(クラウドと同期しているものを除いて)アクセスできませんが、Copilot + PC の AI は PC 内のすべてのデータとデバイス(マイクやカメラ)にアクセスできます。またリコールのようにユーザーの操作履歴も扱うことができます。
その他の違いについては以下の表をご覧ください。
Microsoft 365 Copilot | Copilot + PC | |
アクセスできる場所 | Microsoft 365 クラウド ※それ以外の場所へのアクセスには コネクタが必要 | ユーザーの PC |
ライセンス | Microsoft 365 ライセンスへの アドオン ライセンス・有償 | Windows ライセンスに含まれる |
AI が利用する言語モデル | LLM(大規模言語モデル) ・GPT など | SLM(小規模言語モデル) ・Phi Silica |
ポリシーなどの管理 | Microsoft 365 管理センターで 各種の管理が可能 | リコールは管理者がポリシーで 有効/無効などの制御が可能 |
このように Microsoft 365 Copilot と Copilot + PC の AI は対象や行えることが異なるので、両者を併せて利用することで、より高い生産性を実現することができます。
まとめ
Windows 10 のサポート終了(EOS)で PC のリプレースを検討される場合、法人向け Copilot + PC を採用することでクラウドの Copilot と併せてユーザーの作業の合理化・省力化・省時間が可能となり、生産性を大きく向上させることができます。
エクシード・ワンでは Copilot + PC を始めとした Windows PC の導入やリプレースについて、コンサルティング・サポート・展開の実施を承りますので、以下からお問い合わせください。
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